国内14施設・1,990例の大規模リアルワールドデータで検証
「痛みの強さがある一定の基準以上では、間葉系幹細胞併用療法が効きやすいのではないか」という臨床現場の疑問を、多施設データで検証しました。
※リアルワールドデータとは、治験のような管理された環境ではなく、実際の医療現場で得られたデータを指します。
「VAS 50」が治療選択の目安に
治療前の痛みがVAS 50以上の患者では、間葉系幹細胞併用療法がPFC-FD(TM)単独療法より高い疼痛改善効果を示しました。VAS 50未満では、両治療に大きな差はみられませんでした。
3か月・6か月データで一貫した結果
3か月後の実測データ、6か月後の推定データのいずれでも同じ傾向が確認され、結果の信頼性が裏付けられました。
医療法人社団活寿会 ひざ関節症クリニックの花井洋人医師による本研究は、2026年7月に横浜で開催された第54回日本関節病学会(演題番号:2-3-G15-6)にて口演発表されました。国内複数施設における1,990例のデータを解析し、治療前の痛みの程度(VAS)が、変形性膝関節症に対するバイオセラピーの治療選択の目安となり得るかを検証したものです。
当院でおこなっている変形性膝関節症に対するバイオセラピーには、血小板由来の因子を用いた単独療法※と、間葉系幹細胞を併用する療法の2種類があります。
当院ではこれまで、変形性膝関節症がより進行している患者さんほど間葉系幹細胞併用療法を選択する傾向があったため、両治療の効果を単純に比較することが困難でした。そこで本研究では、日常診療で広く用いられている疼痛評価指標「VAS(Visual Analogue Scale、0〜100の数値で痛みの程度を評価する指標)」に着目し、治療法選択の目安となる基準値の検討を行いました。
※当院では、血小板由来因子製剤単独療法としてPFC-FD(TM)を使用しています。
国内14施設の1,990例(PFC-FD(TM)3回治療1,025例、PFC-FD(TM)3回+間葉系幹細胞治療965例)を解析した結果は、以下の通りです。
この傾向は、6か月後の推定データだけでなく3か月後の実測データでも一致し、結果の信頼性が裏付けられました。
今後は、年齢や膝の変形の程度(KLグレード)なども加味して解析し、どのような患者さんで効果が期待しやすいかを、さらに検討していく予定です。

ひざ関節症クリニック 花井洋人
ひざ関節症クリニックは、変形性膝関節症をはじめとする膝の痛みに対し、再生医療の治療を提供する専門のクリニックです。「患者さんの人生を医療で塗りつぶさない」という考えのもと、単に痛みの改善を目指すだけではなく、患者さんが自分らしい生活や大切な時間を取り戻せる医療を目指し、診療・研究に取り組んでいます。