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「BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE」開催 試合後に篠山選手にインタビュー

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日本代表として実績のある選手がそろった「Team Action(チームアクション)」を勝利に導く篠山竜青選手(#7)。写真提供=JBA

 「バスケットボールで日本を元気に」の理念の下、「BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE」が開催され、川崎ブレイブサンダースから篠山竜青、辻直人の両選手が出場した。主催は日本バスケットボール協会(JBA)。

 テーマは「超える力。叶える力」。新型コロナウイルス感染症の影響で沈んだ社会を活気付け、皆でこの難局を乗り越える力を共有する。そんな志を持って8月16日に国立代々木競技場第一体育館(東京都渋谷区)で開催されたイベントが「BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE」だった。

 もっともコロナ禍において、大規模イベントの開催は容易でない。今回のイベントに参加する選手はもちろん、日本バスケットボール協会やBリーグの職員、映像制作や運営のスタッフまで延べ250人がPCR検査を受診。残念ながらそのうち4人が陽性と判定され、各チームが行った検査でも、女子バスケの強豪「トヨタ自動車アンテロープス」のスタッフから陽性反応が出た。これによりトヨタの選手は出場を取りやめたほか、男子バスケの「アルバルク東京」も3選手が陽性判定となり、今回の「BASKETBALL ACTION 2020 SHOWCASE」への参加を辞退している。

 そうした状況にもかかわらず、動画配信は多くの視聴者を集め、多くの選手が全力でプレゼンテーション、プレーを見せた。加えてファンのリモート応援がコート脇のビジョンに映し出され、て選手を後押しした。参加者がそろわず「実演」にとどまったカテゴリーもあったが、車いすバスケ、女子の3×3、男子の3×3、女子の5人制、男子の5人制という順番でショーケースは進められた。

 トリを務めた男子5人制には、川崎ブレイブサンダースの篠山竜青選手と辻直人選手が出場。日本代表として実績のある選手がそろった「Team Action(チームアクション)」と、未来を担う若手による「Team Power(チームパワー)」による紅白戦が行われ、篠山と辻の両選手は「Team Action」の一員として活躍を見せた。

 感染者が出ている中で開催されたイベントについて、篠山選手は、冷静な意見を述べた。「日本だけでなく世界中でこれだけ感染者が広がっている状況で、定期的にPCR検査をすれば(陽性の選手は)出ていくと思う。ゼロだから偉いとか、1人出てしまったからそのクラブは駄目だということではない。大事なのはそこからクラスターにしない、1人、2人出てしまったものを10人、100人に増やさない、しっかり検査をして出たら広げない・・・。それをキチッとやるしかないと思う。(検査の)結果に浮き足立つのでなく、とにかく最低限に抑える、広げないことにフォーカスして、リーグ全体で今シーズンをしっかり戦って乗り切るところに尽きる」。

チームをけん引する篠山選手。写真提供=JBA

 Bリーガーが置かれた現状については、「Bリーグが中止となり、状況が日々目まぐるしく変わっていく中、いろいろなクラブの選手とコミュニケーションを取っても、施設を使えないのが当たり前という状況が2カ月、3カ月は続いていた。緊急事態宣言が解除されてからも、クラブによって施設を使えない、新たなルールがあるなどのさまざまな状況があり、コンディショニングは難しかったし、バラつきも大きかったと思う」と話す。
 
 ショーケースについては、こう評価する。「ラマスHCの下でしっかりまとまって、少しでも見てくれる人に何かを感じてもらえるように、真面目に準備をして、真剣なぶつかり合いをお見せできたと思う。カテゴリーの壁を取り払ってバスケット界が一丸でアクションを起こせたのは、コロナがあったからという部分もある。このイベントを第一歩として、日本のバスケット界がもっと一つになれるようにしたい。車いすバスケもそうだが、デフバスケットなどいろいろなカテゴリーがある。もっといろいろな事ができるようになればいいなと、今日やってみて改めて感じた」と1日を振り返る。

 恐らく5人制以外の知識が乏しいファン、メディアも多い。しかし篠山選手はZoom会見を通して「男性の3人制はかなり早い段階から、落合(知也)選手たちが中心になってやっているのを見ていた。女子も今はWJBLの選手が活躍する機会が増え、矢野良子選手を始め、3×3を専門でやっている人がいた。世界でも活躍しているイメージを持っているし、東京オリンピックでは、5人制だけでなく3人制も世界を驚かせるような活躍ができるのではないかという期待を強く持っている」と、他のカテゴリーの魅力も熱く語る。

 車いすバスケの魅力についても力説。「テレビで何年か前に一度観戦してから、ずっと応援している。井上雄彦先生(※)が『リアル』という作品を書いた影響もあって、すごく身近なところにあった。どの試合だったか忘れてしまったが、香西(宏昭)選手が活躍して、車いす版のアンクルブレイクをたくさん見た記憶がある。だから車いすバスケのかっこよさは実際に見たり『リアル』を読んだりして感じていたし、こういう機会を待っていたのが正直な思い。香西さんと写真を撮りたかったけれど、それができずに悔しい」と笑顔を見せる。
※漫画家。代表作に「SLAM DUNK」「バガボンド」「リアル」などの作品がある。

 

辻直人選手(#3)も3ポイントを決めて活躍する。写真提供=JBA

 ファンのリモート応援については、「NBAが再開されてバブルの中でもああいうビジョンの使い方をしているのを見ていた。改めて『こういう感じなんだ。新しいな』と感じていた。便利なものを使って少しでも距離を縮めている感覚で、ファンの皆さんと交流できるように各クラブが工夫していろいろできればいいのかなと思う」と、感想を口にした。
 
 一方で通常開催への思いも強い。「一番は、早くお客さんがたくさんいる中でゲームをしたい。早くコロナウイルスが収まってほしい。それが正直なところ」。性別、カテゴリーは関係なく、トップ選手たちは2021年夏の東京オリンピック・パラリンピックに向けた努力を続けている。篠山は全体を俯瞰(ふかん)し、熟慮と熱意を言葉にしていた。

 車いすバスケ、このイベントに参加しなかったデフバスケットまで言及し「日本一丸」の姿勢を強く示した。今回のショーケースがバスケ界、スポーツ界を力づけ、新型コロナ問題を乗り越える一つの契機となることを願いたい。(取材=大島和人)

 

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