プレスリリース

有機物を高機能カーボンへ-分子構造から読み解く炭素化の設計原理-〔岡山大学, 京都大学〕

リリース発行企業:国立大学法人岡山大学

情報提供:




岡山大学と京都大学、科学技術振興機構(JST)の共同研究成果プレスリリースです。


2026(令和8)年 9月 22日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/


<発表のポイント>
- 分子の官能基を変えることで、カーボンになるまでの反応経路と、得られるカーボンの構造を制御できることを示しました。
- フェノール樹脂のモデル分子を用い、炭素化の仕組みを分子レベルで明らかにしました。
- 未利用有機物を、吸着材や導電材などの高機能カーボンへ変換する資源循環の設計指針につながります。



◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の異分野基礎科学研究所の仁科勇太卓越教授と京都大学大学院工学研究科化学理工学専攻の生越友樹教授らの研究グループは、フェノール樹脂のモデル分子として「ピラーアレーン」を用い、分子の周囲に付ける官能基を変えるだけで、カーボンになるまでの反応経路と、できあがるカーボンの構造・機能が大きく変わることを明らかにしました。

 同じ分子骨格から、元の形を保った穴の多いカーボン、段階的に融合したシート状カーボン(層状カーボン)、いったん溶けて再構成されたシート状カーボンが生まれ、それぞれガス吸着や電気伝導に異なる特徴を示しました。これは、経験則に頼ることが多かった炭素化を、分子構造から設計するための新しい学理技術です。

 本成果は、学術誌「Small」に8月19日付で掲載されました。

 今後、フェノール樹脂、ピッチ、リグニン、廃プラスチック由来成分などを、有用な吸着材や導電材へ変換する資源循環技術の設計指針になることが期待されます。

 本件は、2026年9月22日に公開されました。



図. ポリマーの炭素化の例



◆仁科勇太卓越教授と生越友樹教授からのひとこと
<仁科勇太卓越教授>
 炭素化は、同じ原料を加熱しても、少しの構造の違いでまったく異なるカーボンが生まれる、とても奥深い現象です。今回、分子の周りに付く官能基が、カーボンになるまでの道筋と、最終的な形や機能を左右することを見いだしました。これまで経験に頼ることの多かった炭素化を、将来は「目的のカーボンを作るためのレシピ」として設計できるようにしたいと考えています。廃プラスチックやバイオマスなど、これまで十分に活用されてこなかった有機資源を、役立つカーボン材料へ生まれ変わらせる研究につなげていきたいです。





<生越友樹教授>
 ピラーアレーンは、形や官能基を分子レベルで精密に設計できる環状分子です。今回、この特徴を生かすことで、分子のわずかな違いが炭素化の進み方や、最終的に得られるカーボンの構造と機能に大きく影響することを明らかにできました。超分子化学で培ってきた「分子を組み立て、形や性質を制御する」という考え方が、カーボン材料の設計にもつながったことをうれしく思います。今後は、分子設計の知見をフェノール樹脂やバイオマスなど、より身近で実用的な炭素資源へ広げ、資源循環に役立つ新しいカーボン材料の創出につなげたいと考えています。






◆論文情報
 論文名:Divergent Carbonization of Pillar[5]arenes Produces Porous and Lamellar Carbon Architectures
 著者:Tan-Hao Shi, Chen-Yi Ma, Kentaro Ohkura, Riki Kato, Tsubasa Hatanaka, Shoma Hori, Hiroo Suzuki, Shunsuke Ohtani, Kenichi Kato, Yuta Nishina*, Tomoki Ogoshi*
 掲載誌:Small
 DOI:10.1002/smll.75161
 URL:https://doi.org/10.1002/smll.75161


◆研究資金
 本研究は、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST(JPMJCR24S6)、JSPS 科研費(JP23KF0235、JP22H00334、JP24K21247)および文部科学省 世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の支援を受けて実施されました。


◆詳しい研究内容について
 有機物を高機能カーボンへ-分子構造から読み解く炭素化の設計原理-
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r8/press20260820-1.pdf


◆参 考
・岡山大学異分野基礎科学研究所
 https://www.riis.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学異分野基礎科学研究所 仁科研究室
 https://www-tt-vbl-okayama--u-ac-jp.translate.goog/?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja
・京都大学大学院工学研究科 化学理工学専攻 合成化学講座 教授
 https://www.sbchem.kyoto-u.ac.jp/ogoshi-lab/index.html






岡山大学津島キャンパスに所在する岡山大学異分野基礎科学研究所(岡山市北区)



◆本件お問い合わせ先
<研究内容に関するお問い合わせ>
 岡山大学異分野基礎科学研究所 卓越教授 仁科勇太
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス
 TEL:086-251-8718
 E-mail:nisina-y◎cc.okayama-u.ac.jp
     ※◎を@に置き換えて送信してください
 https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1585.html

<報道に関するお問い合わせ>
 岡山大学 総務部 広報課
 TEL:086-251-7292

 京都大学 広報室 国際広報班 
 TEL:075-753-5727

 科学技術振興機構 広報課
 TEL:03-5214-8404

<JST事業に関するお問い合わせ>
 科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ 金山晋司
 TEL:03-3512-3531

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学の研究機器共用(コアファシリティ)などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究機器の共用の体制・整備等の強化促進に関するタスクフォース(略称:チーム共用)
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8705
 FAX:086-251-7114
 E-mail:cfp◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://corefacility-potal.fsp.okayama-u.ac.jp/

<岡山大学のスタートアップ・ベンチャーなどに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究・イノベーション共創機構 スタートアップ・ベンチャー創出本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 E-mail:start-up1◎adm.okayama-u.ac.jp
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 https://venture.okayama-u.ac.jp/

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