デジタルプロモーション株式会社(本社:神奈川県横浜市中区、代表取締役社長:後藤 晃)は、自治体が公開しているシティプロモーション業務委託の仕様書4件と選定評価基準を実読し、比較調査の結果を公開しました。調査では、成果物の著作権の扱いは4市すべてで一致していた一方、契約終了後の引き継ぎ先が「市が自分で回せるようにする」と「次の受注者へ渡す」の2種類に割れていることが分かりました。さらに、ある市の選定評価基準では、仕様書で自走化に触れながら、提案の評価で「実施体制及び役割分担」に配点されていたのは100点満点中5点でした。
■ 調査の背景
シティプロモーションの予算がつき、議会を通り、事業者を公募することになったとき、担当者がまず行うのは他の自治体の仕様書を探すことです。公募は各地で行われていて、仕様書も評価基準も質問回答もPDFで公開されています。参考にできる材料はそろっています。
問題は、どこを参考にするかです。仕様書は業務内容の記述が大半を占めるので、そこを写せば形にはなります。ただ、契約が終わったあとに効いてくるのは、多くの場合もっと後ろの、最後の数条に書かれている部分です。
当社は地域マーケティングとデジタルサイネージの運用を通じて、自治体・公共施設の広報を支援してきました。受託する側として複数の仕様書に接するなかで、「どの市も必ず書く欄」の書き方に差があることが見えてきたため、公開資料をもとに整理しました。
■ 調査の方法
各市が公開している以下のPDFを読み比べました(2026年9月7日取得)。
- 国立市『令和8年度国立市シティプロモーション推進事業委託 仕様書』および質問回答(18問)
- 愛西市『愛西市シティプロモーション伴走支援業務委託仕様書』
- 町田市『町田市シティプロモーションサイト運用等業務委託 仕様書』および特記仕様書
- 川崎市『令和8年度シティプロモーション推進業務委託 仕様書』および選定評価基準
事業の中身はそれぞれ違います。国立市は戦略の策定から実行まで、愛西市は3年間の伴走支援、町田市はサイトの運用、川崎市は広報全般のコンサルテーションとパブリシティです。同じ土俵ではありませんが、だからこそ「どの市も必ず書く欄」の書き方の差が見えます。
本調査は、各市の仕様書の優劣を評価するものではありません。公開資料に「こう書いてある」という事実を並べ、発注を検討する自治体の参考に供することを目的としています。
■ 調査結果1:著作権の扱いは4市とも同じだった
成果物の著作権は発注者に帰属し、受注者は著作者人格権を行使しない。この点は4市とも共通でした。仕様書を書く際に迷いやすい欄ですが、少なくとも今回の4件では論点になっていません。
■ 調査結果2:割れていたのは「出口」の宛先だった
差が出たのは、契約が終わったあとの引き継ぎ先です。
市が自分で回せるようにする型では、期間終了後のIDとパスワードの移管や運用ノウハウの提供を求め、特定の事業者に依存しない構成を条件にしていました。3年契約の市では、3年目の年度目標そのものに「仕組みの定着、自走化、総括」が置かれています。単年度契約で自走化を書くと願望になりますが、複数年で年度を切って書くと工程になります。
次の受注者へ渡す型では、引き継ぎに1条を割き、期間内に完了しなければ期間終了後も受注者の負担で実施すると定めた市がありました。データ一式の提出も条件に入っています。
どちらが良いという話ではありません。ただ、どちらを選んだかで、翌年度に市の手元に残るものが変わります。

契約終了後の「出口」は、市が自分で回せるようにする型と、次の受注者へ引き継ぐ型の2つに分かれた
■ 調査結果3:打合せの頻度は月1回から週1回まで開いていた
打合せの条項は4市でもっとも開きました。回数を明示しない市、月1回程度とする市、そして週1回・原則2時間の対面を求める市がありました。月1回と週1回では、年間の接触回数が12回と約50回になります。
回数を仕様に書けば、その分の人件費が見積に乗ります。上限額が同じなら、打合せに寄せた分だけ実行に回る予算が減ります。したがって実務上の問いは「何回にするか」ではなく、上限額のうちどれだけを打合せに配分するかになります。ある市が「会議開催日の前日営業日の正午までに当日の資料案を提出する」と書いているのは、回数を増やさずに1回あたりの密度を上げる工夫として読めます。
■ 調査結果4:仕様書に出口を書いても、評価基準に配点がないことがある
今回もっとも注目したのはここです。
ある市は選定評価基準も公開しています。100点満点の配点を見ると、企画の作成力が合計70点、実施体制及び役割分担は5点でした。同じ市の2年前の評価基準でも、実施体制及び役割分担は同じく5点です。なお、企画の実行性や現実性は、これとは別に「企画実行力」として10点が置かれています。

ある市の選定評価基準(令和8年度)の配点内訳。実施体制及び役割分担は100点中5点
仕様書に出口を書いたなら、評価でもそこを見る設計になっているかを確認しておく価値があります。ただし、出口を実現させる手立ては配点だけではありません。必須要件として明記する、成果物の定義に含める、検収条件に入れる、引き継ぎ資料や運用マニュアルを納品物として定める、契約終了前のレビューを置く、といった方法があります。配点はそのうちの一つです。
公募前に確認しておきたいのは、次の3点です。
1. 仕様書に書いた出口(自走化・引き継ぎ)に対応する評価項目があるか
2. あるとして、それは何点か
3. 配点で見ないのであれば、必須要件・成果物定義・検収条件のどこで担保するか
■ 参考:公式SNSの運用を外部委託している自治体は1.0%
出口に関連して、アカウントの扱いも論点になります。今回読んだ1市の質問回答では、IDとパスワードの管理および最終的な投稿操作は市が行うことを想定していました。
これは全国の実態とも一致します。シティプロモーション自治体等連絡協議会『令和5年度版 全国シティプロモーション実態調査 結果報告書』(2024年3月公表/全国1,741自治体を対象に実施、有効回答478自治体・回答率27.4%/調査期間2024年2月28日〜3月22日)によれば、公式SNSアカウントの運用を外部委託している自治体は1.0%(5団体)にとどまります。もっとも多いのは「決まった部署がすべての投稿を担当」で59.4%でした。
日々の運用は庁内に残るのが実態です。委託を検討するのであれば、投稿そのものより、投稿の型づくり、素材の制作、立ち上げ期の伴走といった切り出しやすい部分から考えるほうが現実的です。
■ 調査の全文
比較表と条項ごとの詳細は、当社オウンドメディア「DP JOURNAL」で公開しています。
シティプロモーションの業務委託|4市の仕様書を読み比べて分かった、後で困らない5つの条項
https://digitalpromotion.co.jp/dp-journal/dpj-20260910-01/
■ 出典
- 国立市「令和8年度国立市シティプロモーション推進事業委託に関する公募型プロポーザルを実施」
- 愛西市「愛西市シティプロモーション伴走支援業務委託公募型プロポーザルの実施について」
- 町田市「【結果公表】町田市シティプロモーションサイト運用等業務委託 公募型プロポーザルについて」
- 川崎市「【事業者決定】令和8年度シティプロモーション推進業務委託公募型プロポーザル」
- シティプロモーション自治体等連絡協議会「令和5年度版 全国シティプロモーション実態調査 結果報告書」(2024年3月)
いずれも2026年9月7日取得(全国調査のみ2026年9月16日に再確認)。
■ 会社概要
商号:デジタルプロモーション株式会社
所在地:〒231-0007 神奈川県横浜市中区弁天通6-85 宇徳ビルディング4F
代表者:代表取締役社長 後藤 晃
事業内容:メディア&サイネージ運用事業、マーケティングDX事業。タウンビジョンとSNSを連携したエリアファンマーケティングソリューション、販促支援、動画制作、AI開発・AI活用顧問
コーポレートサイト:https://digitalpromotion.co.jp/
■ 本件に関するお問い合わせ
デジタルプロモーション株式会社
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