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川崎の和菓子店「新岩城菓子舗」が創業85周年 街と人の成長を見守って

おかみの徳植由美子さん(右)と若おかみの洋円(みのぶ)さん、2人がつづるブログも人気

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川崎駅西口にある和菓子店「新岩城菓子舗」(川崎市幸区南幸町1、TEL 044-522-2721)が12月6日、創業85周年を迎えた。

昭和23年ごろの新岩城菓子舗

暮れも押し迫ったその日、店頭には鏡餅(小・340円~)やのし餅(500円~)などの正月商品が並び、年始の集まりに持って行く菓子を求める客がひっきりなしに買い物に訪れる。1年のうちで最も菓子店が繁忙する時期だ。

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 「今年もありがとうございます、また来年もよろしくお願いしますね」と笑顔で元気よく客を送り出すのは、同店を経営するおかみの徳植由美子さん(57)。

 1931(昭和6)年、由美子さんの祖父に当たる創業者の徳植三郎さんが菓子店を開業。店名は三郎さんが修業した店からのれん分けされたもの。当初は仕入れが中心の店だった。戦時中に空襲の被害に遭い、終戦後に現在の場所に新たに店を建てた。「戦後でものがない時代だから、作った大福をリヤカーで売って回って、本当に喜ばれたみたいで。お菓子っていいなと子ども心に思っていた」と由美子さんは話す。

 1999年に、病気になった2代目の父親に代わって店を継いだ。慣れない仕事に戸惑う由美子さんを見て、翌年に夫の健司さんも勤めていた銀行を辞め、和菓子作りの道に入った。「自分たちがやるなら、仕入れたお菓子ではなく『ここにしかないもの』を」と一念発起し、オリジナルの和菓子作りに取り組んだ。

 「始めてみたら楽しくて、アイデアはいっぱい出てきた」という。最近では、スイートポテトの中にクリームチーズの入った「川崎ぽてと」(1個150円)と、4代目となる長男の健太さんが毎朝焼く「朝焼きどら焼き」(1個120円)がヒットとなり「かわさき名産品」の認定を受けた。地元の農家との提携も進め、しんぼりファーム(幸区南加瀬5)の「ジャンボいちご」を使った「ジャンボいちご大福」(600円~大きさによって変動)を2014年から発売。その大きさや、粒あんとイチゴのバランスの取れた味で冬の人気商品となっている。

 由美子さんは「お菓子は、人や街の成長や生活に寄り添えるところがいい。誕生餅をうちで作った子どもたちが大きくなって、学校帰りにこの店の前を通って、手を振ってくれる。この店があって、この街に住んでいて良かったね、と言ってもらえる店でありたい」と抱負を語る。「そうしたら、こんな店になったんだよ、とおじいちゃんに胸を張れる」と店内の古い写真を見て、顔をほころばせる。

 営業時間は8時~20時。年末年始も休まずに営業する(三が日の営業時間は10時~17時)。

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