若宮八幡宮(川崎区大師駅前2)内の金山神社で4月2日、毎年恒例の「かなまら祭」が開催される。
金山神社は、鍛冶屋と性の神をまつり「かなまらさま」とも呼ばれている。日本全国からも子宝や安産を願う夫婦らが参詣している。
同祭りは、商売繁盛や子孫繁栄を願った祭り。巨大な男性器のみこしが練り歩く行事として国内外のメディアでも取り上げられ、海外では「ウタマロ・フェスティバル」としても知られている。外国人の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」でも「素晴らしい体験ができる」と話題を呼び、昨年は3万人近くが来場し、約6割が外国人だった。
みこしの数は3基。当初からある本みこしに加え、30年前には舟みこしが日立造船から、ピンク色のエリザベスみこしが女装クラブからそれぞれ寄贈された。境内で大根を男性器に模して削った物を競りに出すほか、仮装行列などを企画し、祭りの規模も大きくなっている。
今年は境内や同時開催となるかわさき桜縁祭(大師公園内)でも、男性器を模したろうそくや食べ物、手拭いなどの土産品を扱う出店を予定している。川崎大師駅周辺に加え、川崎駅仲見世商店街の店舗ともコラボし、限定メニューや土産物を用意する。
昨年の大根削りのオークションで500円で大根を競り落とした横浜市緑区在住の福塚誠さん(32)は「片思いをしていた女性に意を決してアタックをしてから事がうまく進み出した。今月、見事に入籍し、現在妊娠3か月。今年も報告とともに改めて御礼をしに行く」と話す。
祭りは40年前に「川崎大師(平間寺)は正月に全国からたくさんの参詣者を受けるが、うちも何かほかにアピールする方法はないか」と悩んだ当時の宮司が、江戸時代の性病除け祈願・商売繁盛を願った「飯盛り女」らによる「地べた祭」を復活させる形で開いたのが始まり。信者組織「かなまら講」を結成し、当時を倣って夜に酒宴を開いた。
性に対しても閉鎖的な時代には、「女装した男性が男性器に模したみこしを担ぐことに対して、奇異の目で見られていたこともあった」と5代目宮司の中村紀美子さんは話す。「信仰に基づいた祭りだから、性に対するおおらかさがある。ここに来れば誰もが、国籍、性別、老いも若き、カテゴライズに縛られないで楽しめる。そんな祭りにしていきたい」と笑みを見せる。
開催時間は10時~16時30分。