新丸子にある丸子テラス(川崎市中原区丸子通1)で8月27日、川崎の地場産野菜として注目を集める「のらぼう菜」の生産者である髙橋孝次さん(84)を招いて、その育て方や魅力を広めるイベント「未来へ紡ぐのらぼう菜」が行われた。
のらぼう菜は、アブラナ科の野菜で耐寒性に優れ、天保・天明の大飢饉(ききん)では人々を飢餓から救ったという記録も残る。髙橋さんは長年、多摩区の菅地域で郷土野菜としてのらぼう菜の生産と普及に努め、昨年にはその実績が評価され、日本特産農産物協会が認定する「地域農産物マイスター」に、神奈川県で2人目として選ばれた。
当日は、子どもも含めて15人が参加し、髙橋さんの話を聞いた後、実際にポットにのらぼう菜の種をまいた。まき時は、ちょうど今頃から9月くらいまでで、3日もすると芽が出てくる。プランターへの植え替えのポイントなどを教わりながら、めいめいに土いじりを楽しんだ。収穫期の2月までは、フェイスブックで、それぞれの家庭で育てているのらぼう菜の成長を報告し合える。
同イベントを企画した「からふる!」の清水まゆみさんは、「縁があって髙橋さんと知り合いになり、市内15の小学校に出向いてのらぼう菜の授業をしていることを知った。実際に活動に同行させてもらい、行く先々の学校で子どもや先生たちにとても慕われている髙橋さんの姿を見て、自分にも何かできないかと思った。のらぼう菜を作る人を一人でも増やし、未来につなぐことができたら」と話す。
宮前区から参加したという野菜ソムリエの新海さんは「プランター栽培を10年くらいやっているが、のらぼう菜を育てるのは初めて。くせがない野菜なので、カルパッチョやスムージーにしてもおいしいし、成長がとても楽しみ」と期待を寄せる。