![自転車で市内を回り、寄贈者のところに本を受け取りに行く](https://images.keizai.biz/kawasaki_keizai/headline/1548693070_photo.jpg)
昨年7月から一般社団法人ビブリオポルトス(川崎市中原区下小田中2)の小松雄也さんが行ってきた「絵本のまち・かわさき」活動で約3200冊の絵本が集まり、1月31日にいったん活動を終了する。
川崎市内で読書普及活動を行う同法人。代表の小松さんは下小田中に育ち、少年時代は野球に勤しんだ「体育会系」。浪人生時代に海外でさまざまな留学生と交流する中で、ロシアの学生から日本の文学の魅力を指摘され、その面白さと読書の可能性に気が付いたという。大学では図書館の運営活動に携わり、同法人を立ち上げた。
卒業後は出版取次会社に就職したが、「自分にしかできない仕事」に価値を見いだし、2017年に退職してビブリオポルトスの活動を精力的に再開。翌年には養護施設に絵本を寄贈するために、クラウドファンディングを立ち上げ、達成した。
2018年7月に「絵本のまち・かわさき」と題して、家庭でもう読まれなくなった絵本を小松さん自らが自転車で受け取りに行き、保育園などに寄贈する活動を始めると、「うちの本もぜひ」とあちこちから声が掛かり、あっという間に当初目標にしていた1000冊を超える本をさまざまな施設に寄贈することができた。その過程で、「地域子育て支援センター」で子どもに絵本をプレゼントする「絵本サンタ」としての仕事を請け負うことも。
本来は10月末で活動を終了するつもりだったが、反響の大きさに手応えを感じ、1月31日まで期間を延長して活動してきた。現在までに集まった絵本は3200冊を超え、保育園や学童、子ども食堂など50以上の施設に寄贈済み。いったん休止期間を挟んで、地域のプレーヤーを増やし、今年7月ごろに再開する予定。
小松さんは「親世代が本を読まなくなった今、子どもたちが本に出合う機会が減っている。どんな子どもたちも平等に本に出合い、人生の可能性を広げてほしいと思っている」と話す。「本を通じて地域の人たちと交流することで、社会問題にも気付くことができた。行政にできることには限りがあるので、自分の足でまず行動していけば、共感してくれる人も現れる」と展望を語る。