約2カ月間にわたる音楽フェスティバル「かわさきジャズ2019」が11月17日、閉幕した。
主催の実行委員会と川崎市は9月から、フリーライブなどの地域連携プログラムを市内のさまざまな場所で打ち出した。川崎競馬ジャズナイト、ジャズクルーズ、JAZZ JACK DAYなど企業とアーティストとのさまざまなコラボレーション企画を繰り広げ、地元企業や商店街、地域団体等との連携を図った。
特に「JAZZ JACK DAY」(11月16日)には力を入れ、川崎駅周辺の11会場で川崎にゆかりのあるアーティストによるライブや子ども向け手作り楽器ワークショップ、商店街でのジャズパレードを行い、川崎駅周辺を「ジャズでジャック」した一日となった。
「ジャズは橋を架ける」というキャッチコピーの通り、市内外から集まったジャズプレーヤーによる公募型ライブも行った。近隣自治体との交流プログラムでは多摩川を越えて世田谷区などでもライブを実施。これらの地域連携プログラム全体で約5万人の参加があったという。
主要演目となる、ミューザ川崎シンフォニーホールやカルッツかわさきなど7会場で行った音楽公演には約5000人が訪れた。バーチャルシンガー「初音ミク」とピアニスト「まらしぃ」とのコラボレーションライブや、一般参加者によるビッグバンド演奏など、国境・ジャンル・世代を超えたパフォーマンスが繰り広げられた。
16日にミューザで行われた佐山雅弘さんのメモリアルコンサートには、MayJ. さんや小原孝さんなど、ゆかりのアーティストが集結し、長くかわさきジャズに関わってきた佐山さんの思い出を音楽に乗せて届けた。
事務局で広報を担当する前田明子さんは「かわさきジャズが始まった当初は10日間の有料音楽公演が中心のイベントだった。ホールは盛況でも、街ではどこ吹く風という雰囲気だった。昨年から始めた地域連携プログラムでは、会期中にストリートに音楽があふれる状況を作って、音楽に興味がない人でも楽しめるイベントを作ることを目標にした」と振り返る。
「今年はそのプログラムが拡大し、少しずつ定着したように思う。制作側も楽しみながらイベントを作っていくことができたし、いろいろな人がそれぞれの関わり方で参加できるフェスとして『かわさきジャズ』の名前が広がっていく実感ができた」と話す。「この方向で、来年はもっと多くの人が関わってくれて、音楽を通じた新たなつながりや楽しみ方が生まれたら」と笑顔を見せる。