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川崎のビール工場がSNSで支援呼び掛け 廃棄予定の鋸南麦酒ビールが募金へ変わる

被災した瓶ビールを引き取りに来た田上さん(右)、鋸南麦酒の岡村さん(左)

被災した瓶ビールを引き取りに来た田上さん(右)、鋸南麦酒の岡村さん(左)

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 川崎駅東口のイートインのクラフトビール醸造所「東海道BEER川崎宿工場」がSNSで呼び掛け、鋸南麦酒の廃棄寸前だった約1900本の瓶ビールが募金として生まれ変わった。

SNSの投稿記事を見て多くの人が募金に訪れた

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 9月の台風15号の被害を受けた鋸南麦酒は、当時4日間の停電で冷蔵庫の気温が19度まで上がり、約1900本分の瓶ビールの全量廃棄をやむなく検討していたという。鋸南麦酒工場長の岡村拓寛さんは「正規製品として販売するのはどうかと思い、廃棄するしか方法は無いと思っていた」と当時の様子を語る。

 東海道BEER川崎宿工場の醸造技師の田上達史さんが、岡村さんへ連絡するも電話がつながらず、SNSを通じて何とか連絡が取れたという。田上さんは「川崎と千葉はお隣さん。アクアラインもあるので、そこまで遠くはない。同じビール工場として何か協力できることはないかと思い、1900本全量を僕らでどうにかしますと提案した」と話す。「実際に飲んでみたが品質にさほど問題は無かった。こういう時だからこそビールをたくさん飲んで、それが支援につながっていくというポジティブな明るい話題を提供できればと思った」とも。

 田上さんは鋸南麦酒への支援をSNSで呼び掛けたところ、全国のビールファンやビアパブ店などから連絡があり、初回に引き取りに行った約300本は3日間で募金として譲り渡すことができ無くなった。500円に付き瓶ビール1本を募金として引き取れるという仕組み。そのうち100円は鋸南町へ寄付をするという。

 岡村さんは「田上さんの発想力と行動力のおかげで、捨てる予定だったものが現金になったことは現実的にとても助かった。被災したビールのほとんどの瓶詰め作業も終了し工場から出荷されました。たくさんの方からも励ましの訪問や連絡をもらい感謝しかない」と話す。

 その後、計3回、川崎から車で鋸南麦酒まで瓶ビール合計約1400本を引き取りに行き、廃棄寸前だったビールは募金として生まれ変わった。「SNSを見て寄付しに来た」とたくさんの人が川崎の醸造所へ訪問し支援の輪が広がっていった。川崎の醸造所では現在のところ合計約1200本分が募金として生まれ変わり、残りは約200本あるという。田上さんは「SNSで情報が多くの人に拡散されたのは、まさに今の時代を物語っている。時代のニーズにたまたま合致したのが幸いだった」とほほ笑む。

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