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毎日映画コンクール、川崎で最後の授賞式 「映像のまち・かわさき」支え10年

日本映画大賞に選ばれた「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)の表彰の様子

日本映画大賞に選ばれた「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)の表彰の様子

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 2010年より川崎駅前「ミューザ川崎シンフォニーホール」(2019年は改装のためカルッツかわさき)で開催されてきた「毎日映画コンクール」の授賞式が、今年を最後に川崎から都内に会場を移すことが発表され惜しむ声が上がっている。

「田中絹代賞」に選ばれた風吹ジュンさん

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 日本の映画産業の振興と映画の楽しさを広く伝えることを目的にした「毎日映画コンクール」。そのルーツは古く戦前1935(昭和10)年。東京日日新聞(毎日新聞の前身)が「全日本映画コンクール」として開催したことに始まる。

 1946(昭和21)年からは毎日新聞社により継続開催。「全日本映画コンクール」から数えるとカンヌ国際映画祭(1946年~)より古く、国内では「キネマ旬報ベスト・テン」(1924年~)に次ぐ歴史を持つ。1983(昭和58)年よりスポーツニッポン新聞社が共催している。

 川崎での最後の表彰式は、2月13日15時30分に始まった。毎日新聞社の朝比奈豊会長、日本映画製作者連盟の岡田祐介会長に続いて登壇した川崎市の福田紀彦市長は「毎日映画コンクールの表彰式は、川崎市が推進している『映像のまち・かわさき』の活動を支えてくれた」と感謝の気持ちを表し、会場の映画人や映画ファンに「日本映画大学をはじめ、多くの映像スタジオやシネマコンプレックスがあり、映画やテレビのロケも頻繁に行われている。これからも川崎をよろしく」と呼び掛けた。

 今年の日本映画大賞には「蜜蜂と遠雷」(石川慶監督)、日本映画優勝賞には「新聞記者」(藤井道人監督)が選ばれた。毎日映画コンクールならではの表彰として毎年注目される「田中絹代賞」には、風吹ジュンさんが選ばれた。風吹さんは、1974(昭和49)年の多摩川水害をモデルとしたテレビドラマ「岸辺のアルバム」(原作・脚本=山田太一、制作=大山勝美、演出=鴨下信一ほか、製作=TBS)で、八千草薫さん、中田喜子さん、国広富之さん、竹脇無我さんらと共演。女優としての歩みを加速していた。

 風吹さんは「素晴らしい賞をいただいた。心から感謝する。私をこの場に立たせていただいた全ての皆さまにお礼を申し上げたい。ありがとうございました」とあいさつ。「(役者を続けて)もう、45年もたった。その道は平たんな道ではなかった。頭を抱えて生きて、人生3回目の0円生活。2人の子どもを抱えてシングルマザーとしてスタートした、その翌年に、この毎日映画コンクールで助演女優賞を『無能の人』(1991年、竹中直人監督)で頂いた。それがもうどれだけ力になったか分からない。そして本日の田中絹代賞。この賞を、この受賞を誇りに、これから演技することを楽しみ、勇気を持って役に挑戦していきたい」とあいさつした。

 「川崎での最後の表彰式。とても良かった。これからさみしくなるが、『映像のまち・かわさき』を盛り上げていきたい」(川崎市在住の佐藤さん)、「毎日映画コンクールには感謝したい。10年以上もありがとう」(川崎市勤務松本さん)など、惜しむ声も聞こえた。

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