川崎駅東口、市電通り沿いにあるアミューズメント施設「ウエアハウス川崎店」(川崎市川崎区日進町3)が17日、多くの人に惜しまれながら閉店する。
同店が川崎に出店したのは2005年、もともと家電量販店があった場所を利用して、5階建てのアミューズメント施設として誕生した。内部にはゲームセンター、インターネットカフェがあり、ダーツ、ビリヤードなど各種の娯楽が楽しめた。
国道1号から川崎方面に市電通りを南下すると右手に見えてくる巨大な廃屋のような外観に、「あなたのウエアハウス」という電光掲示が赤く光る。内部は香港にかつて存在したスラム街「九龍城」をモデルに工夫が凝らされており、ゲームだけでなく写真を撮りに訪れる訪日外国人観光客も多く、川崎駅周辺のインバウンド事業のスポットの一つとして話題を呼んでいた。
同店を経営する株式会社ゲオ(愛知県名古屋市)の広報を担当する坂本賢一さんは「ゲームセンターという業態は差別化が難しい業態なので、造作というところでの差別化を図った。神奈川県へは初進出だったが、川崎という地域性や、当時の話題性、建物の特徴等も勘案して、いくつかの候補の中から『電脳九龍城』というコンセプトが決まった」と出店当時を振り返る。
閉店の理由については多くを語らず「閉店の告知を出してから、毎日のように多くの方にご来場いただき、どれだけこの店が愛されていたか、感じることができた。閉店するのは本意ではないが、従業員一同、長年の愛顧に本当に感謝している」と話す。
最後の週末となった16日、17日は、開店時から来場者が引きも切らず、入り口に入場待ちの列ができた。台湾から来ていた女性は「閉店の情報をSNSで知った。それから慌てて駆け付けた。来日の際には必ず訪れる場所だったので寂しい」と話す。友人と一緒に最後の姿を見に訪れたという宮前区在住の男性は「友人たちとの遊び場といえばここだった。他ではもう見られないようなレアなゲームが揃っていて、お気に入りの場所だった」と感慨を込めて建物を見上げた。